難関系「Z会」の添削指導をやってみた感想
難関・有名大学を狙うレベルの高い高校生の通信講座として有名なZ会(ゼットかい)。
実は筆者も、高校生時代に通信講座を受講していました。ボリュームがとても多く、難易度も高い問題ばかりで、他の学習系の通信講座とは一線を画していました。
大学受験をメインにしたイメージのあるZ会ですが、実はZ会は中学生からの通信講座もあります。最近では、小学生や幼児からのコースもできている様子。
筆者がZ会の通信講座の添削を行っていたのは、実はかなりで前、10年以上前のことです。
当時は今のようなタブレット学習はなく、すべてテスト用紙のような紙に回答を書いて、郵便で送り、先生も赤ペンで添削をし、コメントを自筆で書く形でした。
このお仕事を数年間続けた感想は、
1.根気がいる!
2.指や手が疲れる(自筆でたくさんコメントを書き込むため)
3.納期を守るスケジュール管理が大切
という点です。
一人一人の回答用紙にひとつひとつ目を通し、他の生徒と同じコメントであっても、同じように何度も繰り返し、添削コメントを書き込むのには、根気がいります!
大勢を一緒に扱う塾講師などと違って、相手は個別対応の指導なので、一人一人に丁寧な添削が必要です。
こういう作業の流れから、当然、指や手が疲れてきます。たくさんまとめて添削したときには、指にペンだこができたこともたびたびありました。先生の「自筆の指導」が、まさに添削指導の良いところでもあるのですが、物理的に書く作業は結構大変でした。
そして、添削(コメントで記載すること)の内容も、Z会から定型句として与えられているために、文章を省いたり、言い回しを簡単にすることも好ましくありません。きれいな文字で、レイアウトを考えて記載していると、添削指導をしているというよりも、代筆のお仕事ではないかと思えてくることもあったり。
それでも、当時はまだ、タブレットなどのツールがない時代でしたから、普段の学生の学習としては手書きは当たり前で、それが普通のことだと思って、作業していました。
添削した回答用紙を返送する納期も、短めで設定されています。自分が作業できる時間と、請け負える量をあらかじめ予測するのが大切で、この点は社会人になってからも必要な技量。学生時代からその訓練をした、という印象でした。
添削指導の副業を始めたきっかけ
Z会の通信講座添削のお仕事を始めたきっかけは、アルバイト雑誌を見て応募した記憶です。最初に始めたときは大学生だったため、手に職や技術もなく、「おいしいバイト」を探すような状態です。
飲食のアルバイトを経験したものの、立ち仕事やお客様相手のお仕事が合わず、短期間で辞めてしまい、その後は主に、やはりアルバイト情報誌から応募して、主に家庭教師をやっていました。
講師の仕事同様に、「勉強を教える」という同じ分野で興味を持ったのが、添削指導のお仕事。
家庭教師では、子供と対面するために、それなりに子供の様子に合わせたり、家庭を訪問する緊張もあります。時間帯も限られています。
その点、通信添削指導は、場所や時間に制限されず、回答用紙に向かうだけという気軽さに惹かれました。
家庭教師で主に担当していたのが中学生だったため、添削指導でも同じ中学生、同じ教科を担当するのは、内容を理解していて楽だったこともあります。
さらには、難関係の「Z会」というブランドに興味を持ったことも大きかったです。
添削指導の報酬はどれくらいか?(実際に稼いだ額)
報酬は、添削を行った枚数で決まります。1枚いくらと決まっているために、報酬額を予測して、請け負う枚数を決められます。
筆者の場合、1か月の報酬額は数万円から多くて5,6万円くらい。
学生時代は学校の勉強の傍ら、他の家庭教師などのアルバイトと同時に行い、社会人になってからは派遣社員などフルタイムの仕事と同時に行っていたために、枚数はあまり多く請け負えませんでした。
1度(一週間)に40〜80枚程度を請け負い、月に2回から4回程度行っていました。
添削1枚につき150円〜200円程度の報酬だった記憶です(かなり以前の金額のため、現在の報酬額とは大きく異なる可能性があります)。
どんな人に向いているか?
Z会(あるいは他社の)学習系添削指導に向いていると思われるのは、
・学習指導が好きな人
・特に、字を書くことが苦でない人、字がきれいな人
・他で塾講師などをやっていて、生徒の回答を見ることに慣れている人
・自由な時間がたくさんあり、多忙でない人
です。
添削として書き込む文章は、ある程度定型化されていたものの、まずは生徒が書いた回答の意味をすぐに理解する必要があります。学習内容に普段から親しんでいる人のほうが、やりやすいでしょう。
また、時間もある程度自由な人のほうがいいでしょう。納期が絶対なので、突発的なスケジュールが発生して、まったく作業時間が取れなくなってしまうのは致命的です。
こちらの評価が悪くなってしまうだけでなく、実際に生徒さんたちに迷惑をかけてしまうのは問題があります。
筆者は一度も、納期に遅れたことはなかったのですが、実際にどうしても作業できない自体になったときには、早めに答案用紙を返送しなければならないでしょうから、スケジュール管理も大変です。
他に仕事を掛け持ちしていないか、他の仕事が忙しくないときに副業としてできる形が理想です。
ただし、字を書くのに慣れている人、字がきれいな人ならば、たとえ忙しい中でも、副業としてやりやすいでしょう。中学生の学習内容はそれほど難しくなく、難しい指導をするというよりも、定型の文章を「分かりやすく書く」ことがかなり大切だからです。
ある意味、学習内容を理解していれば、あとは単調な仕事になるため、コツコツと地道に取り組むことが嫌いでないことも大前提です。
中学数学の添削指導の仕事内容は?
筆者が担当していたのは、中学数学です。数学は、回答に対する指導もしやすいと思われたこと、中学レベルでは筆者が得意だった教科のためです。
数学の添削なら回答も添削も簡潔だと思って選んだのですが、実際は、どの教科でも、「添削指導」として書き込む内容はそれなりに多くありました。
回答が正解かどうかだけでなく、回答にいたる過程、考え方をしっかり読み取り、それに対する文章でのコメントをたくさん書き込みました。
実際の仕事のやり方
実際の仕事の内容としては、
・問題と回答を確認する
・生徒それぞれの回答用紙を、採点する
・採点と同時に、回答の方法などへ、指導のコメント文を自筆で書き込む。不正解のものには回答に導くヒントを、正解の回答にも良くできている点などをコメントする。
・各回答用紙ごと、設問ごとの特典を、マークシートに記入する(Z会側で生徒の成績を管理するデータとなるもののようです。)
・期日までに専用封筒に入れて、ポスト投函
・もし期日までに投函できなかった場合は、ヤマト運輸に限り宅急便で発送する
という流れです。
添削指導というイメージから、採点までの流れをイメージすることが多いのですが、実際はそれよりも、コメント文を書き込む作業が、とても時間がかかります。
さらにはマークシートの記入などもありました。
添削指導の大変だった点
Z会の添削指導で最も大変だったのは、「納期厳守」の点です。これは、他の通信添削指導でも同じと思われます。
Z会の場合は、納期が割と短かく、毎週、あるいは隔週で回答用紙が送られてきて、翌週の指定日までに投函する必要があり、作業時間は実質1週間ありません。
対応する枚数はあらかじめ毎回こちらから指定できるものの、たくさん収入を得ようと、多めの枚数を申請したものの、突然予定が入ったり、体調を崩して大変だったことも、何度もあります。
それでも、納期は絶対なので、体調不良の中、お布団に入ったままこのお仕事だけはやり遂げたことも何度もありました。
社会人になる前、大学生時代から始めたお仕事ですが「社会に出てからのお仕事で、納期は絶対!」という厳しさを学んだのも、この添削指導のお仕事からです。
他の学習・教育系の副業と違う点は?
学習・教育系の副業としてすぐに思いつくのは、塾講師や家庭教師です。これらは、生徒とコミュニケーションしながら話して指導することが向いている方には、ぴったりのお仕事です。先生の人柄も、生徒の人気となったり、人物像も重要になってきそうです。
添削指導の副業は、生徒の目の前にいなくていいので、その点はとても楽です。生徒を前にして緊張したり、生徒の反応を気にしなくても良いのは、対面があまり好きでない性格の人には、講師系のお仕事よりずっと良いでしょう。
そして、他の通信講座と比べても、Z会の添削指導の特徴だと思えた点は、回答にいたる過程、考え方がとても重視されていた点です。
中学数学とはいえ、Z会ですから、基本問題に加えてかなり難しい応用問題もたくさんありました。答えが正解かどうかだけでなく、回答に至る過程、考え方がきちんと記されることが重視されていて、指導の中でも、過程に対するものがとても多かった印象です。
添削指導を副業として快適に長く行うコツ
添削指導を副業として長く行うには、まず、無理をしないことです。納期が短めで絶対のお仕事なので、収入を多くしようと多めに請け負わないことが大切。もし対応しきれない自体になったときに、それでも他のスケジュールを犠牲にして作業をしないといけないのは、大変に苦痛だからです。体調不良などでも、直前に変更がしずらいため、他の代理をお願いできるお仕事とは違うのが厳しいところです。
そのためにも、添削指導をメインの副業とはせず、他に関連したお仕事、学習・教育系のお仕事をされている方の、補助的な副業とするのがベストという印象です。
あるいは、時間的にとても余裕があり、文字を書く作業が苦でない方には、向いているでしょう。
もし添削指導の副業をこれから始めるなら、少ない枚数から始め、どの程度自分が無理なく対応できるかを見極めるのが大切です。
まとめ
学習・教育系の副業といえば、塾講師や家庭教師がポピュラーでしょう。良い講師はとての人気になる反面、精神的にも体力的にもパワーのいる仕事です。外交的な人ほど向いていますね。
学習や教育分野が好きでも、内向的な人には、ちょっと抵抗がある講師の仕事に対し、自宅でこつこつと指導できる添削指導は、とても向いている仕事です。
時間や場所を選ばずできる仕事というのも、うれしいところ。その一方で「ペン1本」で生徒とコミュニケーションするというのが特徴。きれいな文字で、生徒が受け取ってうれしくなる、やる気を出せる添削をしっかりするのは、大切です。
中学生程度では、学習内容がそれほど難しくないために、こつこつと丁寧に文字を書けることがとても大切です。
塾講師や家庭教師など、生徒と対面する先生の副業としても、気を遣わず自分のペースでできる添削指導は、息抜き的な副業として良さそうです。